[到着前にホームで待ち構えて写真を撮るんだ、なんて意気込んでいたのは一体何処の誰であっただろうか?
柄にもなく、起床から到着までの計画まできっちり考えてみせたのに。
実際は、二度寝の末に丁寧にきっかり1時間の寝坊をして、自分がやって来た頃には、乗る予定の列車は到着していて。
自分はそれを乗り逃すまいと、たくさんの荷物を抱えて慌てているのだれけど。
漸く人混みから抜け出し、列車へ急ぐ青年に聞こえたのは、威勢の良い>>#3新聞売りの声。]
すみませーん、それ、頂けないだろうか!
[列車へ駆け込もうとする足を、新聞売りの方へと変えて、ばたばたとせわしなく駆け寄った。
同時に目に入る、>>74大股で此方へと向かってくる、小柄な男。
おそらく彼も目当ては新聞であろう。あの様子だと、もしかすると此方と一緒で、少し急いでいるのかもしれない。]
一つ……いや、二つ。
一つはそこの彼に。
[それは単なる勘違いからくる親切心から。
彼が新聞なんて買う気も無いのもつゆ知らず、二人分の新聞を注文すると、両手の鳥籠を地面へ下ろして、山ほど荷物の入った鞄を探った。
さて、財布は何処へやったっけか。]**
(90) 2015/11/28(Sat) 15時頃