―自室―
[>>89窓を開けておけば少しは涼しかっただろうにそれともその余裕もなかったのだろうか。
布団の中に潜っている同室者が顔を覗かせる。
弱弱しい様が置いてきた後輩の姿と被って胸に痛みを覚えた。
また――…拒んで置いてきてしまった。
浮かぶのは罪悪感で、けれども直ぐに戻ることもできない。
一度口元を手の甲で押さえ、自分のスペースへ向かうと
積まれたタオルを取り]
…ん、少し濡らしてしまった。
――…結い紐の替えがないな。
[詳しい説明までは避け肩に掛けたタオルで髪を拭いながら
イアンに背を向ける形で新たな着替えを探り出す。
替えの紐が見つからないことに緩く首を傾げていたが、
聞こえてくるイアンの告白にひくりとタオルを掛けた肩が揺れて]
……それは…、
[イアンへと振り返ることができず、呟く声音には微かな困惑の色。]
(90) 2011/08/05(Fri) 08時半頃