>>86続き
[左肘の内側を穴だらけにされた後で、その上に絆創膏を貼られる。
ひどく消耗した気分だが、それよりもこちらを伺う彼女の申し訳なさそうな表情が気がかりだ。胸が痛む。
笑って?ってお願いしたいけど、笑えないよね。
処置が済むと、椅子から立ち上がる。くらり、とまた頭が揺れたがなんとか持ちこたえた。
最後にもう一度彼女の方へ目を向けてから、ふらふらとした足取りで診察室を出ていく。
会計の順番がくるまで、待合室の椅子に腰を下ろして待つ。
まさに”天国と地獄”を一度に体験した気分だった。えーとあの子の名前…どさくさに紛れて、制服の上の名札をチェックしてた。
”ローズマリー・ミラー”だったと思う]
…ローズマリー…
[マスクの下でこっそりと呟いた瞬間、”ドクン”と心臓が鳴った。
何だろう…?胸が締め付けられるような、狂おしい感覚。
───その瞬間、ざあっと意識が駆け上がり…一瞬だけ別の光景が見えた気がした。
別の時代に居る僕と…あれは、……”ローズマリー”…?]
(89) vitamin-girl 2011/11/27(Sun) 13時半頃