― 坂道 ―
[petit a petitの住人の中には手に職を持つ者がけっこういるけど、僕はただの教育学部の学生だ。
単位も順調に取ってるし実習も(レポート提出を除けば)全部終わったし、ゆくゆくは学校の先生になるんだろう……おそらく]
実習先のクラスの子達もいい子ばかりだったし……順調順調。
[などと言いながら歩いていると、坂道をのぼってくるホリーさんの姿を見かけたんだ。
この人がさっき部屋の扉をノックしたお隣さん。本当はホリールードって名前なんだけど、僕はちょっと短くして呼んでいるんだ。
そして――このお隣さんのことを女の人と思っているんだ]
ごきげんよう。
[僕は真顔のまま挨拶してきたホリーさんににこやかに挨拶を返した。
そのまますれ違って、ホリーさんとの距離が遠く離れたであろうところで、小さくではあったけれど、]
やった!
[と言って喜びを表した。
ホリーさんの方から先に挨拶してもらえるなんて今日は運のいい日だ]
(89) 2011/08/02(Tue) 20時半頃