ぎゅるるるる……
[おもむろに立ち上がり、ラーメンを注文して食べ始めた]
[「神聖な食堂を司る淑女たちの手によって洗練された完璧な味の醤油とんこつスープを、もちもちでコシのある縮れ麺に絡めて頂く極上の一杯。味の染みたトロトロの焼豚からにじみ出るエキスと海苔からほんのり漂う磯の香りが混ざり合い絶妙のハーモニーを奏でる。契約農家から取り寄せた新鮮なとうもころし(はいつの間にかどこぞの鳥に食べ尽くされたが、)の甘さは香りとなって鼻腔をくすぐる。もやしでさえ、黄金の輝きを帯びて見え、一口噛んだ時に漏れ出す「シャキッ」の音は体中を駆け巡り、全身の毛が逆立つような快感が広がる。お箸で麺を持ち上げた時のその重みは、まさに地球の重みであり、生命の重みである。それを口に運べば、果てしなく広がる旨みの小宇宙のなか、息をするのも忘れてしまう。口惜しくも重力に従って喉から全身へと広がる様々な味の流星群は、飽きることなく全身を奮い立たせる。溢れる感動の涙を止めるすべがあるだろうか。いや、あるまい。……そんなラーメンいかがですか？」という名前の日替わりメニューを平らげると、テッドはグラウンドに*駆けていった*]
(89) 2013/06/13(Thu) 02時頃
