フィリップに、何かあったの?
[鸚哥の口ぶりからしてそうではないと思うのだけれど、やっぱり一番に気にかかるのはそのことで。
肩の鸚哥に顔を向ければ]
ばいばい、言いたい……?
[別れの挨拶をしそびれたということ?
無表情に感謝する。きっと私が人間だったなら、あからさまに顔が強張っていたところだろうから。
律儀だと思う反面、少し恨めしい。面と向かって別れの挨拶なんか、聞きたくないに決まっているのに。
そんなもの、大丈夫よ、と断りかけて]
迷子になってしまったの?
[おうちがわからないという言葉に眉を下げた。
なにしろ、鸚哥は鳥目だ。慣れ親しんだ森でも、この時間では、迷子になってしまうのも無理もないかもしれない]
仕方ないわ。
[そっと息を吐くと、鸚哥を送り届けることにした]
(88) takicchi 2015/07/19(Sun) 23時半頃