─ GW直前夜/市街 ─ >>78>>79>>80
[今一つしまらない再会を迎えて攻芸は微笑んだ。]
ともあれ、よかった。
じゃあゲーム開始といこう。
[攻芸は長袍に仕込んだ銀の匕首を3本投げつけ、その間建物を駆け上がった。仮に自分の武器で己を傷つけてしまうことがあれば、攻芸にも回復し難いダメージがあるが――
攻芸はそれを気にもしていなかった。
攻芸は、使い慣れた銀製武器を扱える吸血鬼となっていた。
吸血鬼は銀を嫌う。『嫌い』つまり生理的嫌悪は、鍛錬次第でおさえこめる。それこそが六合の吸血鬼との戦いだ。
痛み苦しみ恐怖という生理的嫌悪を抑え込むからこそ、命を賭して戦える。――目だの顔面だの手だのが灼けて、平然としていたのは、それこそが理由であった。
吸血鬼に備えた精神構造であること。それこそが六合の教育である。]
(88) 2019/04/30(Tue) 18時半頃