[そして―――女は、その星でも相当多くの人間が集まるであろう、都市の片隅に音もなく、やはり重力というものをおよそ感じさせない優美な動きで立ち下りた。
もっとも、その身にはこの星にはおよそ似つかわしくない、白金色の胸当てと肩当て、それに脚甲を纏っていたのだが]
……なんだ、遍く裁する天頂評議会よりの使徒よ。
[女の耳の中にだけ聞こえる声に答えた]
つまりこの星ではこんな鎧を着ている奴はいないのか。
いいだろうがでは聞こう!貴君は私にどのような奇態な格好をしろというのだ!!
[その言葉に答えるように、女の服装は鎧ではなく、少なくとも外見的には女物のスーツのようにしか見えないものに変化した]
…なんだこれは。随分と窮屈で動きにくそうだけれど…まあいい。荒事になる事もないだろうからね…
[そう言って、瞳の見定める方向へ向かった。自分の会うべき者に会うために]
(88) 2011/06/02(Thu) 22時半頃