― 放課後・フラワーカフェ「フィオーレ」 ―
[その日を境に、俺は時折フィオーレに足を運ぶ事が増えた。
客として甘味を楽しむだけでなく、時には話を聞いてもらったりもして。
そのうちに何かお礼はできないだろうかと考え、印刷物に対する提案を持ちかけたのだった。
勿論、実家に負担をかける訳にはいかないため、ギリギリのラインでの交渉や家業への手伝いを担保として話をつけて。
それからはこうして成果の報告に寄ったりもしているという訳だ。]
………そろそろ行くか。
[後輩たちのいる席へ戻り、話が大方まとまったあたりでそう切り出す。
ごそごそと財布を取り出そうとする後輩たちには。]
会計はもう終わってる。
…俺じゃねえ、アイツのおごりだ。
次会ったら礼でも言ってやれ。
[包み隠さず言った。
言うなとは言われていないし、何より俺が何かしてやった訳でもない。
礼は然るべきところに。当然の事だ。]
(86) 2022/09/05(Mon) 17時頃