― 星間定期艦『パラディソ』 艦外 ―[無限に広がる大宇宙。その大宇宙に浮かぶ『パラディソ』。もし、目を凝らして見ているものがいたのなら、『パラディソ』に何かがぶらりと垂れ下がっているのが見えるだろう。艦の外装の、小さな突起に結ばれた金の糸。その糸の先をたどれば、ゆれる金色がある。拡大してみれば、金色の正体は、いわゆる「人間」であり、金の糸は人間の頭部から伸びている髪の毛であることが分かる。目をつむり、頭部や、肌のところどころを露出させ、金の球体をはべらせたそれは、恒星風にあおられて、ぴかぴか、ぴかぴかと明滅していた。]
(86) 2013/07/21(Sun) 01時頃