[ そもそもこの場所は何処ぞの山奥だか奥地だか山地だか、
少なくとも"都会"とは別の空間にあったはずであって。
ならば、何時の間に男は此処へ来たのだろうか。
頭の底を棚引く疑問の泡も、
若者の一段真剣味を帯びたようにも聞ける声音を耳にするうち
……何処か深くへ弾けて消えた。 ]
へェ。
――…ま、アンタがそうするってなら止めねぇけど?
[ 後ろへやや首を傾げても若者の表情は見えない。
うちに帰る、だとか、やり残したこと、だとか。
それらは当然男にも在った筈の物なのだけれど。
どこか遠く他人事のようで、薄っぺらく聞こえた。 ]
その為には、まず出口。ってなあ。
[ 考えを払うように指を鳴らして首を前へと向けなおす。
軽い音を鳴らして進めば、更に二つ三つ人影が見えたような気がして男は双眸を眇めた。>>47>>49>>51]
(85) 2015/01/31(Sat) 16時頃