[道行く村人に目を配らせる。見張りとは言え、
どこぞの衛兵のように直立不動で居なければいけないわけではない。
…彼は、何も無ければ身じろぎ一つしないが。
暫く所在無げにしていたが、明らかに自分へと近づいてくる者>>76を見る。
目の前に来て、見下ろす。首を真下に向けてもなお頭が視界に入る。]
[昨日の事、と言われて首を傾げた。じっと見下ろされては落ち着くまいが、
屈んでやらねばならぬ程子供でもない。
昨日は二度会った。老婆の家の前と、本屋か。本屋では話していないから、
その前だろう。何か言われたろうか。何にしても、気にすることは無いと、
ゆっくり首を振った。何事か言いよどむ彼女に手をかざして、落ち着くように促す。
やがて差し出されたカバーをじっと見る。ややあってそっと受け取った。
瞬きも無く、手の中のやわらかい布をただ、見つめる。]
(82) 2012/03/24(Sat) 15時頃