ああ、ううん。そうねえ、そこは……[示された格安物件に言葉を濁す。しばらく間取り図に視線を落とした後、必死さが勝ってみえる少女を、眼鏡の奥から少し間をおいて見つめた。気づいたのか偶然か視線が合ったタイミングで、目じりの筋肉を下げて笑う。眉は少し寄せられたままだった。] … 怖いのは、へいき?[示唆と心配を半々に、呼ばれた不動産屋の女は、少女にそんなことを尋ねた。]
(82) 2016/09/27(Tue) 20時半頃