....一般的な治療薬と友人から譲り受けたいくつかの薬、それと私の良き先生、という演技をもってしても治る見込みがない、又は本人に生きる気がない場合はこれを投与していました。
[ポケットから出した小瓶に入っているのは透明な液体]
眠るように死ねます。痛みも苦しみも感じないでしょう。これを怠慢、と呼ぶなら返事はイェス、です。
[それは安楽死と呼べるもの。黍炉はこれ以外の方法で患者を看取ったことがない]
流石に、若いと感じる年齢ならばやれるだけやりますが。老いている人間には割りと躊躇はなかったかもしれません。
こんな私を、軽蔑しますか?
[この村で黍炉に助けられた人は少なからずいただろう。だがそれとおなじくらい死んでいった老人もいて。安らかな最期だったと、だから自分も最期は黍炉先生に看取ってほしいと村外れに住む老婆に言われたのはいつだったか。自分はそれになんと返したかどうにも思い出せない。]
(82) 2013/09/17(Tue) 22時頃