[その後家出のように遠い街に進学して、今まで帰省は一回もしていない。会いたいとは思わないし、悪夢に出てくるわけでもない。仕送りはあってもそれ以外はなにもない、互いに世間体のみで繋がった間柄。]
……なのに、なんでかな。ここロクヨンだよ? 裏切られたってドナさんだってどうでもいい筈なのに……!
[ギリギリと歯を食いしばった。涙がこぼれるのは多分怒りのせいだ。握った手に―中にネズミがいても、そうでなくとも―力がこもる。]
大嫌い。ドナさんなんて嫌い。アシモフくんも嫌い。
そんなちっこい身体でよく参加できるよね? 今だってそう、カミジャーに乗っかって寄っかかって……そうやって横からプレゼントかっさらおうとしてるんだ? ズルいよね。
〈流石ネズミって感じやな。にっぶい牛はさしずめドナか?〉
ああ、それだ。いいこと言うねお兄ちゃん、ぴったりだよ。
[くすくす笑いの一人芝居。どうしてこんなに腹が立つのか、そんな疑問は浮かばなかった。]
死んじゃえ。
(81) 2011/02/21(Mon) 13時頃