––廊下––[ぶつかった女性の左腕。蔓の刺は、手首に深く食い込んだ様な痕がみられて。] …痛みま、すか…それは。[そう聞く男の首元では砂色の花弁が完全に開く。根元には血が滲んでいたかもしれないが、男は全く気付いていないかの様な様子で身を屈めて、少しぎょろりとした眼球で覗き込む。] ………痛い、なら。診察室ですよ? そこは、まだひとなんです…よね。だったら。[気を遣う様に枯れた声は述べる。幾許かの会話はそこでうまれただろうか。]
(81) 2014/09/10(Wed) 21時頃