何かねお礼をしたいんだけど、生憎と甘いお菓子もなければ、お見上げによさそうな花束もないんだ。残念。
だからね、名前を教えてくれないかい?
覚えている間にきっと、君を探してみるよ。
[多分。蛇足は音になる前に吐息として青い空へと。
並んでいたかのように見えた小石>>51がいつの間にか乱れていたけれど、男は饒舌に語り続けた。
何処か演技かかった声で、何処か態とらしく。何処か楽しげに。]
僕の名前はヤニク。ちょうど新しい物語を探している矢先に君が来た。このおかしな体験に感謝を。
[十字を切る素振りを見せながら男は白々しく紡いでいく。
時折瞳を細めては、唸ってみせたけど。]
…花は綺麗なものに限るね。棘があるのは好まないよ。
[赤く腫れた頬に乗る手形に片手を伸ばしながら男は笑う。
そして同意を求めるように一歩彼女へとつま先を向けた。]
(81) 2014/10/01(Wed) 11時半頃