─ 回想:半年よりも前・新宿不動産(>>31>>71) ─
[テーブルの上には物件のファイルがひらきっぱなしになっている。そのひとつに指をおいている少女の側へお茶がおかれる。鈴里は半ば縋りつかれるように食い下がられてる東蓮寺と彼女を見比べながら、頬に手を当てた。]
そうねえ……。連絡先もだけれど、
未成年となると保証人がいないとどうしてもねえ……
頼れるようなおじさんかおばさんかはいない?
[東蓮寺のどうします?という視線に規定上の話をしながら、少女の対面のソファに座って体を前に倒す。視線の高さを同じにして見やった少女の日本人離れした容貌が目につく。]
うーん、追い出されちゃったのが本当なら、
わたしも助けてあげたいけれど……
お仕事だと、難しい部分もあるのよねえ……
[のべられる手があるなら。とは思えど、仕事のきまりを一社員が飛び越えるわけにもいかない。上野の上野中下アパートが彼女の目に止まったらしいのに、ふーっと眉を寄せて息を吐いた。苦笑が浮かぶ。]
(81) 2016/09/27(Tue) 20時半頃