ーーどこかの道ーー
[外へ出ると、空気が肌に刺さる感じがした。それが何を意味しているのか、はっきり分からなかったがきっと祟り神に関係しているのだろうと、ぼんやり考える。大事が起きていなければ良いが。
女は、風呂敷を二つ抱えて歩き出す。さて、どうしようか。あの兄妹様方は屋敷に居るだろうか。華月様は?きっと華月様お屋敷には留まらず、ひらひらと漂い、日向がまた探し回っているような気がした。ならば、居場所が直ぐには分からないので、甚六に頼んだ後亀吉様達のお屋敷を訪ねようか。しかし………]
…以前は…こんなに緊張しなかった……
[今や甚六をお慕いしていると認識してる。高鳴る鼓動を落ち着けるようにして、胸に手を押さえた。何の事はない。反物を頼むだけの話だ。自分に言い聞かせ、息を深く吸い込み出来るだけ大きな声で]
……甚六さん…お頼み申しますっ…!!
[動悸と息切れとで、少し頭がくらっとしてしまった。果たして、声は届いただろうか**]
(80) 2013/08/13(Tue) 17時頃