[毎日毎日太陽を浴びて、碌々労ってもやれない私の手に重ねられた婦人の白い手は震えるほどに柔らかいのです。
この手は一体誰のために、なんのためにこれほど美しいのか、ああそんな下世話な想像をしているなんて気取られてしまいかねません、私は貝になりたいとはこういうときに使う言葉なのですね。]
は はい あ お名前 はい
[笑みに撲殺されました。酷い暴力でした。
頷くことしかできなかった私に婦人は続けて言いました。
会いに来て欲しいと。
一体何の冗談なのでしょうか、嘘の新年でしたか今日は。いいえそんなはずはありません。
ずっと目を白黒させている私に、婦人はハンカチを握らせました。きっと何か書いてあるのでしょう。
もしそれに、「信じたの?お馬鹿さんね」
なんて書かれていたなら
これは夢ではなかったのだと思えそうではありますが。]
…い いえ こちらこ
ご、ごきげんよう
[きっとこれが夢かそうでないか、判断するにはまだまだ時間がかかるのでしょう。
内容を確認するのは後の事ですが、今はまだ婦人の姿がそこにあったのですからね。]
(80) 2016/10/07(Fri) 21時半頃