よォ、姐さん。久しぶりィ!
どうだい、繁盛してるかい?
[広場に連なる屋台の一角で、いそいそと荷物を広げる臙脂の後ろ姿に陽気に声を掛ける。>>48
広げられたござの傍にはまだ七輪があるのみで、彼女が振り返った頃になってようやく準備中であろう事に気が付いた。
久し振り。そんな言葉で再会を喜んでおいて、こちらを向いた女性の顔を見るなりひゅうと口笛を吹く。まるきり、初対面の相手への反応でその容姿を称えた。]
あんた、美人さんだなぁ。
その尻尾の毛並みも最高にイカしてるぜ。
[手放しで誉めそやし、少しだけその背後、腰元に視線を遣る。果たしてそこに揺れる二本の尾>>14はあっただろうか。どちらにせよ、男の目はそれを捉えていたようだが。
ぱちんと炭の爆ぜる音に、男は視線を七輪に移す。
解かれた荷>>48の中身はなんだったのだろう。近くの屋台から漂う食べ物の匂いに、すんと鼻を鳴らしてから、続けた。]
邪魔してすまねえ、まだ準備中だったか。
姐さんは何を出すんだい?
(80) 2015/04/18(Sat) 00時頃