[自分の肢体が果たして男の欲を惹くものなのかは分からぬ。
だが少なくとも目の前のこの男の興味は掻き立てるものらしいと、上下する喉を見やり思う。
彼が続けて語る可哀想な花の詳細に皮肉めいた笑みが口許を歪めるが、それもすぐに消え。
彼の打つ芝居にしおらしい声で答える。]
はい、それはそれは優しく。
[彼岸花のそれが末席の花に教え仕込むためのものだったのだとしたら、さしずめ転落した人生を哀れまれ、せめてもの施しに苦痛だけはないように…そんなところか?
身体を舐める視線が茶番に真実味を肉付けしていく。]
……。
[腹を撫ぜる暖かい指に、唇を湿らして張りつめる自分の気を宥める。瞳を彩る金の睫はしきりにまばたいて灯りを反射した。
やはり嬲るように眺め回す視線を受けると、羞恥に頬が朱く染まって。
脱衣の続きを命じる声に目を伏せて、自分の細い腰に衣服を縛り付けているベルトを解いていく。]
(79) 2014/09/20(Sat) 17時半頃