―樹上の狼―
[喜びに任せて遠吠える>>60。私だっ! ここだっ!! と主張する。
魔法使いの一人は見知った相手なのは気がついた。
顔が見えず、臭いも雨のせいで判別できなかったが、もう一人だって群の仲間だ。
おーいっ。おーいっ。と尻尾を振ってわくわくするも。
一人はうんざり目を逸らし>>63、もう一人の反応は特になし>>66。
ぐぬぬと感じた。少なくとも男の魔法使いとは顔見知りな訳で。
そっちがその気なら、こっちもこうだ! とばかりに、ツーンとそっぽを向いてやる。
気のない振りしてぐるぐる回ったり、興味なさげに脇の臭いを嗅いでみたいみたり。
そんな合間に、ちらり、ちらり、と様子を窺っているうちに、ようやく気がついた。
そうか。今は『狼の恰好』だったからか、と。
思えば魔物に間違われることも、野良狼に間違われることも、これまで多々あったのだし。
この状態のヴェラを見たことは、あいつ(ホレーショー)も>>68……]
(78) 2013/06/10(Mon) 23時半頃