部屋の中を確認させろ?
爆破予告でもありましたか。それとも、テロリストでも潜んでいますか。
せめて、何があったか教えていただけないことには。
[そう応じると、小さな舌打ちと共に。
クソ戦争の仇が、黙って従え――と、聞こえた気がした。
首を横に振るには十分だったが、その先の結果は予想していなかった。
響いた鈍い音が、自分の頭と通路の壁が派手にぶつかった音だと気付くのに、少しかかった。コブになるかもしれない。
家出少年の捜索中だと、隊員は言った。それとも誘拐犯になりたいか、とも]
官憲といったら、横暴、凶暴、乱暴が通り相場……か。
[母国語で呟いてから、どうしようもないかと、肩をすくめた]
――判った、判りましたよ。行きましょう。
[隊員と自分の個室に戻る途中も、不安げに通路に顔を出す乗客の姿をちらほらと見かけたものだった]
(77) 2015/12/01(Tue) 20時半頃