―ホテルの一室―
[案内されたホテル>>72に入れば、きょろりと室内を見回す。既に用意されている料理と、窓から見える景色と。そのどちらにも仄かに息を吐きながら、此方を見詰める相手に笑みを返す。
コートは脱いで椅子にかけておいた。散々汚れたそれは、ジャニスには相応しくないと思ったから。脱いだってどうせ、中も真っ白なのだけど]
まあ、それは楽しみだわ。
ホテルだなんて、最初はびっくりしたけれど。ちゃんと"考えて"くれているのね。
――科学塔、
[あの薄気味悪い噂の絶えない塔の事か。
移された視線を追いながら、持ち上げられた眉に微かに顔を顰める。
随分科学塔を嫌っている様だけれど。細められた目に気付けば、その会話に追い縋る事はせず]
そんなに期待値を上げられると困っちゃうわ。
[つと苦笑を零し、此方を真っ直ぐ見据える彼にぱちりと目を瞬かせる。何を"期待"されているのだろうか。
ジャニスは初めて居心地の悪い視線というものを感じている。例えどんな視線だって、"観客"が此方を見ているなら、嬉しい筈なのに]
(76) 2014/10/05(Sun) 15時半頃