[祥子さんの名前を呼んで、姿を探した。
そして、神社の裏手にある社に身を潜めていたのを見つけた。
わたしの名前を呼んで、近づいてくる。>>70]
一人でここに隠れていたの?
怖かっただろうに。
[心情を察すると、わたしも辛い思いがした。わたしはここまで、あまり一人ではなかったから余計に]
はい、これ。さっき、忘れたでしょう。
[わたしは提げていた水筒を外すと、祥子さんに差し出す。
持ち主の手に無事に届ける事が出来て、嬉しくて自然と顔がほころんだ。
代わりに、祥子さんからはアメを受け取った。ああ、これが御門さんの言ってたやつか]
御門さんに会って聞いたよ。
わたしの分のアメを、祥子さんが持っているって……ありがとう。
[手にしたアメを、わたしは袂の中に入れた。落とさぬよう、手拭いに包むようにして。
疲れたり悲しくなった時に食べるものだとしたら、今はまだ違うから。*]
(76) 2016/11/20(Sun) 00時頃