[そうして、早速人間サイズの六角鉛筆を抱えると、
足元の地図に、風速と風向きを書き入れる。
刻一刻と変化する気象は、データ解析も重要事項だ。
そんな中、先ほど撫でられた指先を思い出して、
ちらりと揺れる豊かな尾っぽを丸い瞳で追いかけた。>>52
病欠が多い自分が卒業まで、赤点を取らずにこれたのも、
全ては、この面倒見の良い友人の御蔭。
もう休めないから、もう休めないから。と、
眼をぐるぐるに回し、鼻水を垂らして、
ずりずりベッドから這い出、登校を目指す体を、
幾度、“気紛れ”で労われたか分からない。
礼を幾ら告げても、何度頭を下げても返せない恩義。
人とねずみ。種族の差はあれど、彼は掛替えのない友達だ。
いつか、この身に余るほど貰い受けた恩を返したい、
それが、この学び舎にやってきて新たに出来た、
小さいけれど、大きな目標でもあった。*]
(75) 2015/01/22(Thu) 21時半頃