─ 医務室 ─
[陽光射し込む白い医務室は、眠りの静寂に包まれ、時間が止まったかのようだ。ふと、窓の外の景色に視線を移し、]
昼間に医務室に来るのは、久しぶりだよ。
此処1年半以上、具合が悪くても来ないようにしてた。
[医務室の鉄パイプのベッドの上。生徒達のはしゃぎ声を聴きながら、纏いつく影におびえ、身を強ばらせる日々を思い出す。
何時、他の寮生が扉を開けるかもしれない、何時連れ出されて襲われるかもしれない自室とは異なり、保険医の見守る医務室での眠りは、あの頃のラルフにとっては救いだった。眠りが苦痛になったのは、眠りに逃避を求める自分を厭うようになってからか。それとも、もっと最近の事なのかよく分からない。]
──……
眠りに囚われなければ、
此処は安全な場所のはず。
と、ドナルドを探してくる。
トニーにユーリィの事も伝えなきゃだし。
(74) 2010/09/09(Thu) 11時半頃