――っ、
[不協和音>>66に耳を押さえれば、灰の当主の伝言役は再びクレープ屋の屋台の上。
顰めた顔で眼鏡越し睨みつけても当の相手の意識は敵陣に向かっている物だから、黒い男は不満を言う機会を逃してしまった。
ドローンの構造は見た目通りの玩具の様で、何処か一部でも破損させてしまえば、後は無残に落下するのみ。
舞う式が功績を上げるのを尻目、人が捌けたのを好都合とコートの奥から黒銃を取り出し一発、二発。
玩具相手に炎を出すまでもないと、転がった残骸は銃痕しか刻まれる事が無かっただろう。
己の使う炎は強力ではあるものの、そこには幾つかの欠点も入り混じる。
一つは、瞬発的な物でしか無く長続きしない事。
一瞬の爆発は起こせても、業火を永遠に生み出す事は出来やしない。
爆発の後立って居られた者は殆ど居ないが、丈夫な相手と当たった場合、相性が悪い事この上ない。
一つは、遠くの物は燃やせぬと言う事。
炎が届くのは精々自分から十数センチと言ったところで、その射程距離は1mも無い程だっただろう。
近付かれれば燃やしてやれるが、遠くの相手はやり辛い。
――それをカバーするのが黒銃であるのだが、その応用としては、]
(74) 2015/09/12(Sat) 16時頃