僕は髪を一房取っては、また首を傾げました。此方の色素も薄く、雪が降ると世界に紛れる。寧ろ冷たい、硬いとさえ思われそうなのに、彼女はその逆を示したので、心が無ず痒くなっては止まらない。
「あはは。じゃあ今、ときめいたんですか?」
その痒さをごまかす様に、僕は軽く笑いました。差し出されたらときめくと言われたならば、冗談交えてお返しを。
暫く談笑をしていたけれど、軈て店員から掛けられた質問>>0:378には「花瓶は花に合わせるので、大丈夫です。ありがとうございます」と。間も無く作業は終わるのでしょう、浮き出た沈黙は僕達を包む。
しかし先程、フードの彼と話していた彼とは随分違う口調に、見当たる「壁」には(やっぱりどこもそうですよね。)と、遠い気持ちに思いを馳せる。ひとつまぶたを合わせると、出来上がった花々に、囲まれる碧には少しだけ動揺を見せてしまったが―僕はゆっくり立ち上がり、にんまりと微笑みました。
(74) 2014/10/03(Fri) 09時半頃