…あ、あげます。
[自分の性格か、それとも彼のものなのか。どこか威圧感に似たものは、若しかしたら見ず知らずの彼に、「自分の知らない人」に恐怖を抱いて居るのかもしれないと、震える唇は震える声を、その振動は指先にまで及びました。まるで放り投げたくなるような衝動を堪えボトルがその手におとなしく渡ることを望みますが――然し拒絶されたのなら? 学生はその結論に酷く逃げ出したくなる衝動を抑えました。]
…朝から子守唄なんて、…疲れてるんですね?
[こくり。唾は喉を通りました。澄まし顔を見せて入るけれどら内心は滝汗に見舞われ。渡した飲物は好き嫌い別れる葡萄味の炭酸飲料。それが彼の口に合うかなどは特には考えず、目前の紅葉のあからみを消そうとそのことだけに一心。口先は余談を捧げ。幾度か瞬きを繰り返しては、消えぬ紅葉に同情さえ覚えました。恋人と喧嘩したんだろうなあ、浮気でもしたのかな。客観的楽観視さえ浮かべた感想は言葉に代わることはないけれど。**]
(73) 2014/10/01(Wed) 09時半頃