「ああ、お客さんはご存じないのですね。」
[まっとうな宿屋なら置いてある水晶玉。
水晶玉を通じて、会話ができるという。
本来ならば、客の目に触れない場所で使用されているのだが、
いつのまにかなくなっていたらしい。
滅多に使うことがないので、主人もまだ気付いていなかったとか。]
ーということは、水晶玉があれば、別の宿屋にいても話ができると。
「そうですよー、でも、きちんと清めないと使えないですねー。」
[娘が手持ちの手ぬぐいで拭くと、濃い青があらわになって。]
綺麗な、色だな。
[コバルトブルー、海の青だと説明された。海…。
海はみたことがないというと、1度はみた方がいい、と勧められた。]
海、か。ああ、いつか機会があれば。
[そう答えて。この水晶、場合によっては使えるのでは、と。
後で、王子かその側近に報告しようと思った。]
(72) 2010/03/24(Wed) 22時頃