なんかこうしてるとさ。
君と会った日に、山小屋に連れてってくれた時の事思い出すね。
[先導する年上の友達の背中は大きくて、それだって、あの日から変わらない。
あははと笑いながら、ふと過った雨の日を思い返した。
家をなくして直ぐくらい。僕の背は今よりずっと低くて、これから先の生き方も見えない頃だった。
僕はおかしいくらいの空腹に耐えかねて、店からパンを盗んだんだ。
勿論一文無しでさ。雨で泥濘んだ道を走って、逃げて、
やたら上背のある男にぶつかって――、それが君だった。
見逃してくれたんだったか、庇ってくれたんだったか。
とにかく僕は窮地を免れて、その兄さんに懐いたんだった。]
なつかしいなー。
[まさかこんなに長い付き合いになるなんてね。
でも僕は、この出逢いに心から感謝してるし、
だからこそ君をなんとしてでも助けたかったんだ。]
(72) 2016/10/10(Mon) 23時半頃