[私の視線がさくちゃんの目にどう映っていたのか。すぐに分かった。
目が合った、彼女の瞳は何処か泣き出しそうな色をしていて。
彼女の口からこぼれてきたのは、悲痛な声。]
なっ……!
[それは、極限状態が引き出した彼女の本音だったのだろうか。張り詰めていた彼女の糸を、私が切ってしまったのだろうか?
彼女が引いた言葉の矢が、私に突き刺さる。]
……知ったような口、聞かないでよ……。
[堪えていたものが、ついに吹き出してしまった。
都会に夢を見ていた自分。田舎が嫌で、この村で一番死んでいくのが嫌で、都会に逃げた自分。都会に飲み込まれて、惨めに逃げ帰ってきた自分。
自分で自分のことが嫌いで仕方ないのに、そんな私のことを、さくちゃんは慕ってくれて、きらきらした真っ直ぐな瞳で突き刺してくる。今だって。
刺された傷はじくじくと広がって、痛みを増す。
こんなことで言い争いをしている場合じゃないって、分かっているはずなのに。]
(72) 2016/07/20(Wed) 23時頃