―ホテルの一室―
[向かった先は、國の中央部付近にあるホテルのスイートルーム。
"獣人"の話をするのであれば、人目の多いレストランよりも良いだろう、と先程電話を入れていた。
國の景色が一望出来る大きな窓の近く、備えられたテーブルの上に並ぶ料理を前に、男はじ、と相手を見つめる。ワイングラスを首の辺りまで持ち上げれば、彼はそれに応えてはくれただろうか。]
國の景色が良く見えるだろう。もうすぐ日が暮れたのなら、光の景色も美しいよ。
あと個人的に気に入っているのは……この部屋からは、"科学塔が見えない。"
[一口、赤い雫を口へと含み。半ば皮肉じみた物言いで窓へと視線を移し、戻した視線と共に眉を持ち上げて見せる。
そうしてグラスをテーブルに置いたなら、テーブルの上で手を組み、す、と目を細めて見せる]
…さて。
早速で申し訳ないが、君のとっておき…とらやを。聞かせて貰いたいのだが。
私になら、教えてくれるんだろう?
[爪は今は鳴らさない。癖とは言え、きっと礼を欠いてしまうから。
変わらず白に身を包む彼の姿を、真っ直ぐに、真っ直ぐに見据えながら。
そうすれば、その唇からはどんな言葉が飛び出して来るのか、と期待して]
(72) 2014/10/05(Sun) 14時頃