― 広場 ―[四年に一度の祭ということもあり村は常と違う空気を纏っていた。広場にある大樹に撓垂れ掛かる娘の伏せた睫毛が小さく震える。森から流れくる風に木々が戦ぎ木漏れ日が娘の目蓋の裏を赤く染めて其れから逃れるように身動ぎし吐息を零した]――……。[娘の眸はまだ開かない。木陰に座り眠る其の姿は良く出来た人形を思わせる。娘が物心つくかつかぬかの頃に両親は事故で他界しており老いた祖母に引き取られ村で二人で暮らしていた。祖母の言い付けで祭に赴いたが娘自身は積極的とは言えぬ性格で何かない限りは自ら動こうという意志は無い。何時しか娘は、すぅ、と再び寝息をたてていた**]
(72) 2010/07/27(Tue) 00時半頃