―回想・エレベーター内にて―
ええ、馴染みませんが、決まりなら仕方がないですね。そう呼んでください。
[呼ばれた名前は、未だに認識し難くはあるけれど。
差し出した手が取られた>>59なら、緩く握ってはすぐに離す。
そうしてもう一人>>65にも差し出せば、全く同じ強さで握って。]
ティーシャ、さん。
ではそのように、…――失礼しました。
[僅かに陰った声は、把握する為にと半ば食い入り気味に覗き見た名札のせいか、もしくは他の何かか。
深くは推し測れずとも、浮かべた笑いは緩めぬまま、ほんの少し眉を下げてみせた。
会話の頭。もしくは終わりに。
名を呼ぶのは礼儀じみて染み付いてはいるけれど。
見えない壁に踏み入って怪我をするのは本意ではないから、それだけは心の隅に留めて。
箱の中で交わされたのは社交辞令。ひたすらに社交辞令。うわべだけの笑顔の応酬。
へらりと薄い笑みを浮かべる男>>48が、かろうじて例外。*]
(71) 2015/08/22(Sat) 22時頃