[しかし、話が身の上からグルメへと飛ぶと少し咳払いして気を入れ直す。少しだけ細い眼に真面目な色が宿り。]
プリン、勿論好きです。
でも ―――、
桐野江さんは昨今のトロけるプリン至上主義について、思う所はありませんか。
[大真面目に切り出す昨今のプリン事情。
相手が固め否定派でないと裏は取れている。>>62]
いえ、戦争をしようと言う訳ではないんです。
美味し糧に貴賤はありません。
けれど、どっしりとした円錐台にしっかりとした黄身のプリンだって、舞台袖で控えているだけに留まらないポテンシャルだと思うんです。
それにシンプルイズベストを目指す世の中も大変合理的ですが、生クリームにサクランボを乗せた往年のプリンもまた、素晴らしいものです。そこにはトキメキさえ覚えます。
そんな心を踊るデコレーションを全幅の信頼を寄せて任せられるのは固いプリンだけだと思いませんか。
………、
(70) 2019/11/23(Sat) 19時半頃