[モノクロの視界に映る空を見上げる。
相変わらず、色味は無い。疎らに、ノイズのシンボルマークがふよふよ浮いている。
パートナーと契約した今、向こうから襲ってくることはなく。
なんだか景色の一部に溶け込んで、絵画の世界のよう。
目線を落とし、自らの服を見る。
逃走に戦闘と忙しなく振り返る暇も無かったが、ところどころ乱れていることにようやく気がついた。
急に恥ずかしくなり、そそくさと直す。
私の体を包むのは、クラシカル系ロリータファッションブランド「ハロウ・バニィ」製のお気に入りの服。
ちょっぴりレトロなデザインだけど、派手すぎず日常生活にも馴染む。
露出が少ないから本格的に運動向きではないが。
残念ながら今は、魅力的なボルドー色はこの目で堪能できないけれど。
他の人の視界に映っているなら、せめて最後まで着こなそうかと。
胸元のリボンを結び直しながら、ぼんやりと思った。]
(70) 2015/03/06(Fri) 23時半頃