[その姿は、生前誰もが想像するもの。
ファンタジー作品に登場するような、ありふれた特徴。
全身を包むローブ、骨ばった顔と細い腕、そして――その両腕に握られる、命を刈り取る鎌。
3分の時間をかけて。
空想の世界の“死神”の姿を、黒一色で描き上げる。
影で形作られた、私の背丈よりも一回りほど大きい“黒い死神”。]
――行きなさい。
[絵筆を真っ直ぐ、ノイズの群れに向ける。
すると黒い死神は音も無く動き出し、両腕の大きな鎌を振りかぶり――順番に、ノイズを刈り取ってゆく。
影に質量は無い。しかし、その鎌は鋭く収束した超低温の空間。
まるで氷の刃のごとく斬り付けた部分の熱を奪い、細胞を死滅させるだろう。
質量を持たない影の死神。
その大技は流石に高度なイマジネーションを必要とし、長時間維持するのも難しい。
おまけに私自身は無防備である――さて、これでどこまでノイズの群れを狩れるだろうか。*]
(69) 2015/03/13(Fri) 01時頃