― 翌朝 カフェテリア ―
[珍しく店には行かずに来た滅多に来ないこの場所。
頼んだ物は珈琲とアップルパイ。気づいたら何日振りの休日だろうか。]
ありがとうございます。
[運ばれてきた珈琲に礼を言って、砂糖もミルクも加えずに少し冷ましてから口にする。一口飲めばポケットから携帯と煙草にライター、そして一冊の古めかしい本。お供に持ってきたその本をぱらりと捲り、羅列された文字を追う。]
"むかしむかし、あるところに、
とても可愛らしい女の子がいました。
ある時、その女の子のおばあさんが赤いビロードの布で
女の子のかぶるずきんを作ってくれました。"
[赤ずきん。
友人が何度かメールで送ってきた御伽噺だ。
その物語をゆっくりと読み、一ページが終われば捲り新たな展開を繰り広げる。既に知ってる御伽噺だが持ってきたのは友人が例えに出したこのに出てくる狼が気になったから。アップルパイはあとから持ってきてもらうように店員に告げ、珈琲を喉に通せば御伽噺を読みふける。]
(69) 2014/10/09(Thu) 22時頃