―グロリアの部屋―
[灰となってしまったフィリップ。
殺意を向けた相手を弔えるほど厚顔でも偽善的でもない。
ただ一瞬、己の手で屠った女と産声をあげる事さえ許さなかった子の存在を重ねる。
死の淵から蘇り人の理を外れた罪深き吸血鬼がうみだしたダンピールという存在。
子も親を選べずうまれおちたその時から親の業を担うか。
天敵として屠るべき存在として認識しながらも割り切れぬ感情は確かに男の中にも在った。]
――フィリップ。
見舞ったグロリアには会えたか?
会えたなら、お前さんは何を話し何を思ったんだろうな。
[グロリアの見舞いに席を立ったのは二人。
その一人であるサミュエルは戻り彼女の状態を話した。
もう一人であるフィリップからそれは聞けなかった。
それが疑いを向けた要因となったもう一つでもあったのだが手探りで感覚の部分が強い事は無論自覚していた。]
(69) 2013/12/07(Sat) 14時半頃