―大広間→書斎―
[探索の道中誰かに会ったかしら?館は思いの外広かったわ。だから手紙の告げる"鍵の掛けられる部屋"も、"ヴェスパンダインさんの行方"も。私にはわからなかったの。
それに、望んでいた衣裳部屋のようなものも、無かったわ。どこもかしこも鉄格子。本当に鬱々としてくる。
だけどこんな部屋を見つけた。書物がたくさん置いてある書斎。古い紙の匂いがする、その部屋は。埃は一つも被っていなくて。そしてきっと誰かが読んだんでしょうね。幾つかの本がそこに置かれたままだっったわ。
まさか大柄な男と入れ違いだったなんて、知る由もないんだけど。]
"
一つ、人間の記憶を餌としていること。
一つ、飢餓を覚える時期があるということ。
一つ、見た目は人間と変わらないということ。
"
[開かれたページを読んで、ため息をつくわ。月食に現れるという怪物。それが"怪物の姿をしていれば"、どんなにわかりやすくていいのに、なんてまだ思っていたから。
やっぱり"この中にいる"という手紙は、本当なのかしらね。]
(69) 2016/10/09(Sun) 20時半頃