[嗚呼、"クソッタレ"!一体これは如何したものか。
自分としては、目の前の少年を避けてその小さい身体が地面に衝突した方がダメージはそれは少ないだろう。この少年がこの場で脳髄をぶちまけようとも、正直知った事ではない――ぶちまけられた脳髄なんて、見慣れている。
夢から醒めた現実世界ならば、男は迷わず一方足を引いて少年と地面とのキスをつまらなさそうに眺める道を選んだのだろうけれど。
其れでも僅かに迷いが生じたのは、そう、此処が"夢の中"だから。
見慣れていると言ったところで、年端もいかないそして自分にとって"興味の無い"人間のスプラッタを見るのは――"夢見が悪い"じゃあないか、と。
其処まで考えた所で、衝突までは後7秒――嗚呼、決断に3秒も費やしてしまったとは、何たる不覚。
其処から舌を一つ打つのに1秒、自分の頭を守るように腕を顔の前に組むのに1秒。
残った5秒の使い道は――]
(68) 2015/06/20(Sat) 18時頃