―→中庭―[毛布を持って、再び中庭にひとり足を運んだ。 東屋の柱や小屋の壁が、草木が、そして花が月明りに淡く浮かぶのが見えた。 やがて東屋の側で、遠くの薔薇の木を眺めるようにして腰を下ろした。 自分の髪にも未だ薔薇を一輪挿したまま――本当は早く水に生けた方がいいのでは、とも考えないまま] 綺麗だ。……。[目に見える生命の形と、目に見えない生命の色に、とろんと目を細める。 寮の部屋よりも図書室よりも、それに実家よりも、この中庭が一番、よく眠れる場所だった。**]
(67) 2018/05/17(Thu) 10時頃