[何か心当たりがあるのかと聞かれはしたが、>>34首を振ってごまかします。ふと、彼が本棚から一冊の本を取りだすのが目に入りました。つまりそれはジェイムズ・フレイザーの「金枝編」。
―――イタリアのネミの森に伝わる、聖なる金枝を持つ逃亡奴隷による司祭「森の王」の殺害にまつわる儀式についての長大な考察書。無論、私も学生の頃に数度読み下した事はあります。
世界各地の人類学について記載されたこの書物は紛れもなく20世紀初頭における比較人類学の金字塔でしょう。
そこに記載された「ある儀式」についてさえ深読みしなければ…ですが。]
読書家だとは存じていましたが、人類学の方にも興味がおありだとは知りませんでした。
…いえ、失礼しました。私、三日月さんを部屋までお送りしてきますね。
[ニコラスさんに一礼して、私は部屋を出たのでした。]
(64) 2017/12/12(Tue) 21時頃