日向、何処に居る。無事か。
そっちの状況は。
[坦々とした鋭さの無い声へ既に襲撃にあってしまったのではと、焦燥に駆られた言葉はまくし立てる様に。
しかし通話に出られるのなら撃退した後だろうか。
少女を探し歩く足を速めても、この広い街で当てもない人探しなど殆ど無謀な事に近い。
彼女が裏切り者かどうかなんて、そんな事は尋ねなかった。
男の人生の内では短く、しかし深い付き合いの彼女とは、他の家とは違う確信にも似た信用があって。
日向だけは絶対に違うと、何の根拠もないがそう言い切れる。
だがその自信は、掴み用の無い不確かな物。
証拠も無しに彼女の潔白を証明する事は叶わないが、それでも彼女の立ち位置が分からないなんて言葉、口にする事は一度も無かっただろう。]
…大丈夫か?
合流、出来るか。
[親子程歳の離れた少女に感じていたのは、黒にとっては珍しいまでの加護欲と、
強く混じる、少女の母親の面影と。**]
(63) 2015/09/16(Wed) 17時頃