――商店街――
……――あー…。
[ 陽もやや昇って、人通りも若干増えた街中で小さく、呻く。確かにあてもなく歩いてきたわけだった、が。戻る道の見当を見失い始めたのを感じる。地図は読めるものの、もとより方向には疎い。
活気づいた店並びからは、己が立つ場所が恐らく商店街であろうと推測できた。商店街のどこ、とは知れない。
惚けたように建物の壁へと背中を投げ出せば、>>29 声が微かに耳に入る。]
『……何か楽しい事は……』
[ 僅かに離れた距離と喧噪で、殆どかき消された言葉にそれでもぴくりと反応した。続いてため息を零す仕草には、改めてそちらを見やる。
ショーウインドウに映る顔の造りは端正で、その姿立ち居振る舞いに僅かに既視感を覚えた。
それでも、その場はそれ以上には考えを巡らせないままに、店を眺める相手へと声を掛ける。]
――ねえ、お兄さんも迷子?
[ 迷子、と言うには年齢が高いだろうか。些か外れた自省を抱きながら首を傾げる。失礼、という考えは毛頭なく。ただ興味を惹かれるままに反応を待った。
声に気付かれなければ、暫くして体を建物から放しその場を立ち去り、街の地図を探しに行っただろう**]
(63) 2014/10/01(Wed) 07時頃