―そのあと―
[気づいた時には手遅れだった。
アイリスが、自分は人狼だと言ったらしい。
そんなはずもなく、人狼になり暴れたりすることもなく村人に取り押さえられたこと、フィリップの占で人間と言われていることから、やはりアイリスは人間だとわかる。
クラリッサが崖から落ちたこと、アイリスが牢にに入れられたこと、全ては後から知ることになる。
牢にいるアイリスに何度も会いにいったが、アイリスには会えなかった。
クラリッサとアイリス、その二人と一緒に暮らしていたわたしを疑うものも多く、アイリスとの面会すら許されなかった。
お墓の前に立ち尽くす。小瓶をその手に握って。
その小瓶を見つめる。
クラリッサは何を思って崖から落ちたのだろう?もう人を襲いたくないからか?セシルが死んでしまったからか?分からない。わからないからこそ、クラリッサの覚悟を、汚してしまう気がしてこの薬を使うことが出来なかった。
アイリスと会話が出来れば何かが変わったのだろうか?あの時、立ち止まらずにいれば、何かが変わったのか?今となってはわからない。
(62) kanagami08 2013/08/08(Thu) 14時頃