[手に入らないと思えば思うほど、己の心は悲鳴を上げる。けれど哀しいくらい身体は正直に彼女を求めていて。
傷つけないよう、壊れないよう、彼女を抱く。
だけど、勘違いしそうになるんだ。
絶頂を迎えるたび、絡み合う視線の先、彼女の深い色の瞳が。泣き笑いのような微笑みが。
己の身体を閉じ込めてくれる、その細い腕が。
―――彼女もまた、自分を愛してくれているのではと。
引くつく喉から、何度。
愛している、大好きだと出かかったか。
双つの蒼から零れ落ちた雫は、マーゴの柔らかな身体に落ちて流れていった。
せめて彼女が、相手の男を忘れられるように。
己の存在を刻み付けるように、腰を打ち付ける。
しかし、慣れない行為と快楽と疲労の波は、初めての身にはあまりにも大きすぎて。
何度目かの絶頂を迎えると、倒れこむように意識を手放した。]
(62) 2015/04/21(Tue) 16時半頃